今年は、猛暑、猛暑と言われた昨年を上回る少雨高温の夏が9月半ばまで続きました。
もはや、今までのやり方が通用しない気候の変化を受け入れるしかありません。
江戸時代から大正時代まで何度も手入れをしながら守ってきた田村酒造場の酒造蔵も、まさか気温40度は想定していなかったことでしょう。
幸い、今のところ、重要な酒米の収穫について、大きな問題は聞こえてきません。
目前に迫る秋の刈り入れまで、天災が起こらないことを心から祈っています。
最近は、以前より、溶けにくい酒米に出会うことが増えましたが、これも、蓄積している近年のデータをもとに、対応力を増しつつあります。
さて、今期、私が特にやるべきことが3つあります。
1つ目は酒質の向上。毎年の課題ですが、より時代のニーズを組みながら、田村酒造場らしさをたたえた「きれいな味わい」を出していきたい思います。旨味雑味をいかにコントロールしていくかという挑戦です。
2つ目は蔵人チームの育成。私も今年、還暦を迎えました。今まで無事に酒造りができていることに感謝しかありません。定年までは間がありますが、今年は、蔵人の育成に気合をいれていきます。そのためには、ゆとりも必要ですので、意識して業務を俯瞰します。
3つ目は、2026年春にオープンする田村酒造場の新しい施設と酒造りの連携です。
https://www.seishu-kasen.com/news/7976
場所は、当蔵の正門の目の前で、田村酒造場の酒を味わえるレストランやバー、ショップを併設し、日本酒の魅力を発信し、実際にその良さを体験していただく施設となります。
といっても、まだまだ準備段階で詳細は計画中です。情報を共有しながら、造り手の側はどう動いたらいいのか考えたり、受け入れ体制を構築するなど、手探りで考えていく一年となるでしょう。
大きく動き出す嘉泉と今年の新酒を楽しみにお待ちください。
杜氏 高橋