蔵人自ら、己の仕事を語る。
それは酒造りの工程をそのまま映し出す。
酒造りは「人から人へと渡すもの」だから。
頭・塚本は自らのチームをこう語る。
「酒造りは身につくまで時間がかかる仕事。今、みんな、いい意味で育ってきている時期ですね」と。
釜屋・峯岸伸泰(32歳・酒造歴4年)
米を洗って浸漬して、蒸して各部署に送る。蒸米は酒造りのすべての、最初の工程です。同じ米でも気温や湿度によって蒸しが違ってきますから、親方の指示にしたがっていろいろ変えています。蒸米の失敗は修正できません。麹や酒母など次の工程でうまく行くような蒸米を作るのが、僕の任務。だから、よくできて当たり前なんですよ。
麹屋・岡本裕一(39歳・酒造歴10年)
麹に“絶対”はないですね。大事なのは、全体の中でのバランスです。こういう酒を造りたいというイメージがまずあって、酒母や醪の各担当が望むものを把握して、うまく行くにはどういう麹が必要なのかを考える。だから逆算の発想です。造りたい麹のイメージができたら、あとは感覚の世界ですね。
もと屋・田中洋(52歳・酒造歴12年)
もとの目標は優良な酵母をたくさん育てること。とにかく醪屋さんが造りやすいような酒母を心がけています。垂れ口を想像しつつ、香りも色つやもいい、出来のよい酒母を・・。酒母の出来が悪くて、醪でよくなることはないですからね。
酒母に、蒸米、麹、仕込み水を加えるのが仕込み。1回目を添(そえ) 、2回目を仲(なか)、3回目を留(とめ)といい、3回に分けて仕込まれるので三段仕込みと言われる。添と仲の間には踊(おどり)といって休みを入れる。こうして仕込まれたものが醪(もろみ)となる。
頭(かしら)・塚本京子(酒造歴14年)
麹と酒母、そして蒸米と、すべてが合わさったものが醪です。最終的に希望どおりのものになるようにまとめていく。成長に寄り添って、そのまままっすぐ育つようにと・・・。
頭という仕事は、一口でいえば仕事の段取りを考えて、いつ、どうやってどの仕事をするのかを組み立てていくことですね。それもその日だけじゃなく、週単位 、月単位で考えて、最終的には半年間の造り全体を考えて、今を組み立てるのです。
大吟醸の醪は、通常の横型連続搾り機ではなく、布の袋に入れ、重力という力のみで搾られる。
こうしてぽとり、ぽとりと滴るしずくは、まさに極上の酒となる。
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