言ノ葉

【杜氏】平成22年度の酒造りに向けて

  • 言ノ葉
  • 2010.09.01

また酒造りのシーズンが始まりました。
私が杜氏となって10年が過ぎ、今年は11年目にあたります。
10年ひと区切りで振り返ってみると、それなりに五感と知識と経験は身に付きつつも、ちょっと気になることがありました。
無我夢中で取り組んでいた若い頃の大胆さが少なくなってきたような気がしたのです。
酒造りには「繊細さ」と「大胆さ」と、相反する2つの要素が大事です。
「繊細さ」は経験で、ある程度補える部分が大きいのですが、問題は「大胆」。
「大胆」な酒造りに必要なのは「柔軟な発想」と「素直な感性」の2つ。
基本をしっかり押さえつつも、過去の経験にとらわれず、第六感やひらめきで進むべき酒造りを見いだすことも、また重要なことなのです。
そこで、例年、オフシーズンの夏は、数回、南部講習会などのイベントに参加するほかは、身体を休めたり、家族と過ごすことを中心としていたのですが「生活に変化をつけることで、物の見方が広がって考えに幅がでるかも」と考え今年は、地元福生の地域活動に取り組んでみました。
ちょうど、我が家には小学校2年生の男の子がいるので、永田町子ども会の副地区長&小学校のPTA地区役員を担当することにしました。
ただ、どうしても冬の間は酒造りで100日以上休みのない生活になりますのでそこのところは周囲の理解を得、イベントの多い夏の期間に全力投球させていただくことになりました。
さて、この欄で他のスタッフも再三書いているとおり、福生は大変地域活動が盛んな土地柄で、古き良き地元のネットワークがしっかり残っています。
夏のイベントだけでも、日帰り旅行、ラジオ体操、お祭り、盆踊り、七夕パトロールと目白押し。付随した書類仕事も多々あります。
これらの活動を通して、久しぶりに仕事以外の「新しい体験や発見」をたくさんし、新鮮な日々を過ごしています。
たとえば、子ども会はお祭りでは紙で花を作って地域の家に売ります。
紙で花を作るなんて、初めて。子ども達に教えられながら、頑張りました。
こんな風に、地域の子どもたちとにぎやかに過ごしていると、まぶしいほどに柔軟な発想や素直な感性にふれることができ、自分の子ども時代すら鮮やかによみがえってきます。
また、より福生という地域を好きになり、たくさんの人と知り合えました。
会う人、会う人、挨拶を交わして、毎日が気持ちよくなりました。
そんな生活をしていると、ふと酒造りのことが頭に浮かびます。
もっと、みんなに喜んでもらえる酒を造りたい。
子ども達にも将来、私が醸した日本酒を好きになってもらいたい。
今までよりも、視野角を広げ、色んな方向から酒造りを眺め、子ども達からも大いに刺激を受けた「柔軟な発想」と「素直な感性」で大胆な酒造りに立ち返りたいと思います。
どうぞ、ご期待下さい。
杜氏 高橋