言ノ葉

【杜氏】平成24年度の酒造りに向けて

  • 言ノ葉
  • 2012.09.01

新米の季節を目前に、平成24年度の酒造りが始まりました。
今年は、昨年に比べてもう一息生産を上げる予定です。
このような時代ですが、皆様のお引き立て、大変有り難いことだと感じています。
さて、今年の酒造りは、例年と状況が異なるようです。
蔵人や機械の体制は万端に整っておりますが、現時点で、酒米の状況が不透明です。
昨年の震災以来、特に東北方面での日本酒の消費量が高まり、その結果愛用していた酒米品種の引き合いが強くなって参りました。
困った困った、と言っていては始まりませんので、気持ちを切り替え、新しい酒米との出会いを楽しんでみようかと決意しました。
もちろん、全面的に切り替えるわけではありません。通常の酒造りと平行して、新しい酒米での造りもプラスしていくという感じです。
この酒米選びは、何ともワクワクする仕事です。
私の酒造り、ひいては田村酒造場の酒造りでは、基本を大事にしながらも、新しい味の発見を求めるという気風があります。
例えば、「田むら」は“吟ぎんが”“山酒4号”という、開発当時はほとんど知られていない酒米を採用しました。
最初は苦労もありますが、造りを重ねて、その酒米と付き合っていくと持ち味をつかまえることができます。
試行錯誤のなかで「どのように進んでいけば、この米の魅力を引き出せるのだろう」
「この個性をいかしたら、面白い酒ができあがるのではないか」
と思考がどんどん深まっていく、この一連の道のりが、酒造りの面白さでもあるのです。
それには、あまりに汎用的な、有名銘柄の酒米ではつまらないので新味があるもので勝負したいと思っております。
このように、米と水で造る酒にも、人と人との出会いのように、「縁」の妙があります。
そうしてできあがった酒で、皆様の「縁」や「絆」を深くするお手伝いができれば、蔵人冥利に尽きます。
和醸良酒。今年も精進して参りますので、どうぞご期待下さい。
杜氏 高橋