言ノ葉

【蔵元】2010年 年頭所感

  • 言ノ葉
  • 2010.01.01

読者の皆様、明けましておめでとうございます。
平素は嘉泉のご愛顧ならびにメールマガジンのご購読をいただき誠にありがとうございます。田村酒造場 田村半十郎でございます。
まず、満を持してリリースする新商品「純米酒 白麹(しろこうじ)使用」のお話しから始めたいと思います。
ここ数年に渡り、田村酒造場は『お燗のための酒』の開発に取り組んで参りました。これには、3つの命題がありました。
まずは“お燗”で最も持ち味を生かし、お燗酒の醍醐味を余すことなく伝えきる力を持った酒であること。
次に当蔵のマインドでもある“大衆酒”であること。
最後に根強いファンの多い“純米酒”であること。
「お燗酒に向く酒は熟成酒である」という方向性は定まっていたのですが、ここからが大変難しいものでした。
紆余曲折を経て、通常日本酒の仕込みでは用いない「白麹」を採用し、酸、味のふくらみ、キレなどを兼ね備えたお燗専用酒が誕生しました。
3年間、じっくり熟成をさせ、ようやく皆様のお手元にお届けできます。
田村酒造場が提案する“お燗酒”の心を感じて頂ければと思います。
かつては家庭でお燗酒を楽しむことは、日常の風景でした。
湯気の上がる鍋から、手ぬぐいを手に温まったとっくりをつまみ上げる。
熱くしすぎて怒られたり、上手につけて褒められたり。
現在では電子レンジという便利な物もあります。ゆっくり頂くお燗は美味しいことはもちろん、身体が芯から温まって緊張をほぐします。
お気に入りの酒器を見つけて、ゆるりとした楽しさを味わって下さい。
きっとそこには日本酒の底力の再発見があります。
続いて「田むら」の近況です。最近は米による酒質の違いを楽しんで頂く“米違い”の商品造りに取り組んでいます。吟ぎんがに続いてリリースした山酒4号使用の「田むら」も面白い仕上がりです。
「田むら」は大変な手間がかかる蔵元自慢の商品です。引き続きのご愛顧をお願い申し上げます。
旧年は100年に一度とも言われた不景気の年でした。
今年もまだ展望が見えませんが、こんなときだからこそ田村酒造場では酒質の向上に努め、皆様の暮らしを豊かにしたいと思っております。
価格も日頃お求めやすい“大衆のための酒”にこだわります。
最後に皆様に1つお願いがあります。
日本には歴史を重ねた心ある物づくりの会社がたくさんあります。
生活防衛はもちろん大事なのですが、この状況下で日本の財産が消えていってしまわないよう、応援をしてあげてほしいと思います。
景気が回復したときに大事な文化や技術が衰退してしまっていたら取り返しがつきません。弊社も頑張りますので、よろしくお願い申し上げます。
田村半十郎