言ノ葉

【蔵元】2019年 年頭所感

  • 言ノ葉
  • 2019.01.12

読者の皆様、あけましておめでとうございます。
平素は嘉泉のご愛顧ならびにメールマガジンのご購読をいただき誠にありがとうございます。田村酒造場 田村半十郎でございます。

本年は己亥(つちのとい)。
私にとっては「還暦」を迎える特別な年となります。

かつて、医療が未発達で、公衆衛生や滋養栄養が行き届かなかった時代は、60歳まで生き延びることは、親族を集めて祝うべき幸福でした。しかし、世界有数の長寿国で生きる日本人の平均寿命が急激に伸びたのはそれほど前のことではありません。厚生労働省の資料によれば、戦後間もない1950年の男子平均寿命は59.57才、女子は62.97歳とあります。当時は出産時や乳幼児~若年で亡くなる方も多くありましたから、一概にはいえませんが、「60歳」の重みが現代とは違うことは想像できます。思いおこせば、還暦を迎えた頃の祖父や父は、年寄りの風情であった気がいたします。

しかし、最近の60歳はどうでしょうか。
同世代を見渡しても、若い時と同じとは言えないものの、まだまだ気力体力ともに充分。仕事に趣味にスポーツに・・いきいきと人生を愉しんでいます。私もおかげさまで還暦の祝いをして頂いているのですが、ピンと来ないのが正直な心情です。しかし、人生の節目としては噛みしめるものがあります。

ここに至るまで、バブル時代から長く続いた不況、そして日本酒業界の低迷や社会構造の変化に時には耐え、時には機運をとらえて乗り越えてきました。これからの10年20年は超高齢者社会を経て、本格的な人口減少社会、それに伴う都市部集中の加速、グローバル化など、さらなる大きなうねりを迎えることでしょう。

私も還暦を迎えた今、動じることなく、慌てることなく、より大きく物事を俯瞰して、辿るべき道のりと本質を考え、良いと思えば前例なきことでも果断する田村酒造場の精神を追求していく所存です。

2019年は改元を迎え、日本国にとっても大きな節目となります。オリンピックイヤーを控えて、日本酒業界の話題もいっそう活発化するはずです。来日観光客が増加の一途をたどるなか、東京都心部からアクセス至便な西多摩地域観光の魅力の1つとして、浸透する地酒文化をより活かせたらいいですね。将来的にはフランスのワイナリー巡りのように、日本各地の蔵元と地酒、その地方の料理を愉しむツアーなど、日本の観光スタイルも成熟していくことでしょう。

本年も精進してまいります。どうぞご期待ください。

田村半十郎