言ノ葉

【蔵元】2018年 年頭所感

  • 言ノ葉
  • 2018.01.05

あけましておめでとうございます。
平素は嘉泉のご愛顧をいただき誠にありがとうございます。
田村酒造場 田村半十郎でございます。

昨年は全国新酒鑑評会で金賞、平成29年東京国税局酒類鑑評会(東京都、千葉県、神奈川県、山梨県)清酒吟醸部門及び清酒純米吟醸部門において、優等賞を受賞いたしました。特に、清酒吟醸部門におきましては、出品数53点の中から、首席の栄誉を受賞することができました。一昨年に引き続き、一定の評価が得られたこと、これも皆様のご支援の賜物と謹んで御礼申し上げます。

思えば、2008年に当代を襲名してから、設備や蔵の改修、酒米の確保と次々立ちはだかる諸問題に対し、無我夢中で取り組み続けた10年間でした。

日本酒低迷の時代は長く、それでも東京オリンピックが決まったあたりから、機運が芽生え、思い描く日本酒復権の手ごたえが年ごとに感じられるようになりました。

出荷量が業界を通して全盛期より上がることは難しいと思いますが、それは日本酒不況ではなく、日本における人口構成やライフスタイルの変化に伴うものと見ています。

以前、酒は食前酒として、或いは飲むこと自体を目的に嗜まれることが多いものでした。現在は食中酒として、食事と共に楽しむものになっています。米から造られる日本酒は料理と相性がよく、その味わいを豊かにする特性があり、これは時代とマッチしています。健康ブームで注目される発酵食品でもあり、栄養が豊富です。「和らぎ水」を挟みながら、ゆっくりと適正量を嗜む作法も、以前に比べて浸透し、上手に日本酒を楽しむ方が増えました。蔵元しては、健康を保って、できるだけ長い間、日本酒を楽しんで頂きたく、この風潮は大歓迎です。

SNSによる情報交換も活発化し、有名無名に関わらず、自分の気に行った酒をのびのびと発信する人が増えました。特定の銘柄にこだわらず、色々な酒にトライしたり、旅先の地酒など、多様性そのものを楽しむ方も多いようです。基本的に日本酒はローカルフードですから、日本全国その土地の地酒と出会えます。当地の食べ物と一番合うのは当地の地酒ですから、そんな面白さ・奥深さも支持を得ているのでしょう。

同好の士を集めたイベント、飲食店による日本酒の会も盛り上がっています。個人がメディアとなる時代。こういった流れを垣間見て、これからの日本酒はマスメディアによる一過性のブームではなく、名より実をとらえた「選ばれる酒」をいかに造っていくかが重要と感じています。そのために、まず、するべきことは、全銘柄の酒質向上以外にありません。

昨年、リニューアルした大吟醸「對鴎」も、その一環です。おかげさまで各鑑評会で高評価を頂けましたが、本年も弛まず、前進あるのみで参りたいと思います。
どうぞご期待ください。


                            田村半十郎